音響コラム


Q&Aのおはなし

2025年7月5日 作成

いつもの前書き
こんなことを個人のHPに書かないといけない時代になりましたが、
このページに書いてある内容は保証しません!間違いがある場合もあります!

...一応ということで。
ってなわけで本編へ。
Q1.アンプの音は存在するの?スピーカーの音は存在するの?
これは年代によって回答が分かれる答えです。
昔は、アンプの音やスピーカーの音は存在していました。
80年代ごろまではアンプに使われる素子やスピーカーの素材などがまだ発展途上であったため、製品によって高音が削れてしまう、低音が出ないなどいろいろな差がありました。
現在ではこれらの技術も成熟し、スピーカーに組み合わせるアンプの種類が型番まで正確に決められている場合が多く、(さらにデジタル技術の発展でアクティブスピーカーが増えて)アンプの音、スピーカーの音はほぼ存在しない....ということになります。
もちろん出力が小さいスピーカーや特定の帯域に焦点を当てて設計されたアンプもしくはスピーカーは存在するので、そういった意味ではまだ「存在する」かもしれません。
ただ、これにはある前提があります。
それは、スピーカーは「音響出力が定格に近い場合に本領発揮する」もので、アンプは「一番歪みが少ない動作点で稼働した場合に本領発揮する」ものということです。
それぞれの機器の定格が対象の人数や会場の特性に応じたものとなればどんなものを使ってもアンプの音、スピーカーの音は存在しません。
Q2.D級アンプとAB級アンプの使い分けは?
うーん、これを聞かれた際にしばらく考え込みましたね。
それぞれの音は同じでも、その他の特性が何かと悪さすることもあります。
D級アンプは一般に、常時スイッチングを行い、無駄な電流を流すのでノイズが出ます。
「サー」といったアレです。
最近はだいぶ改善されていますが、やはり耳を近づけると聞こえてきますね。
これに対してAB級アンプは、信号が入っていないとき、入っている時に関わらず無駄な電流が流れません。(理由は後述します)
よって、ノイズは本当に少ないです。
アンプの素子自体から発するノイズはありますが、測定器ではないとわからないレベルです。
もちろん耳を近づけたって聞こえません。
実験として、LA47508(AB級)とTPA3110(D級)の2つのアンプを聴き比べて見ました。
それぞれ入力はGNDに落としています。
この実験では、やはりAB級のほうが静かでした。
もちろんWP-9440とかと比べてもいいのですが...流石に違いすぎます、やめておきましょう。
(後に実測データを載せる...かもしれません。)
もう一つ、大事な点があります。
それは、「D級アンプにはLPFが入っている」というものです。
このLPF、負荷のインピーダンスによって特性が変化します。
ほとんどのD級アンプICには、LCフィルタが推奨されています。
しかし、この回路はCと並列に接続されるR分によってこの特性が大きく変わります。
交流回路の基礎がわかっていれば...単純ですよね。
この特性の変化により、音の出方が変わってきます。
数年前のアンプICはこれが顕著に現れていました。
(製品として出荷されているものの特性は分かりません、高いので手が出せません...)
最近はこの補正回路が入っているものもあるかもしれません...が、出力をセンシングするのは結構大変のはずです。
もう一つ言うとしたら、スピーカーへ高周波電流が乗ることですかね。
先述したフィルタの回路バランスが崩れると、負荷にスイッチングの際の高周波が出てしまいます。
これが結構厄介で、普段は流れるはずのない大電流がD級アンプの終段にかかってしまいます。
普段はフィルタで防がれるはずなので、当然ですよね。
さて、AB級アンプに話を戻します。
AB級アンプでは、負荷が変わってもあまり特性は変化しません。
また、終段に流れる電流もスピーカーの抵抗値に依存したものしか流れません。
理由は単純で、負荷電流以外に余計な電流が流れないのでフィルタが必要なく、そのために特性変化を考える必要がない、これだけです。
これは、定格範囲内の電力を出すのであれば(限度はありますが)どんな負荷でも繋いでいいということです。
つまり、AB級アンプは終段に流せる電流の大きさが負荷の最小値になります。
よって「4〜16Ωの中だったらどんなものも繋いでいいよ」ということが可能になるわけです。

まとめると、
  • ノイズが気になるならAB級、ノイズが気にならないならD級
  • スピーカーの負荷がその場によって変わるならAB級、変わらないならD級
となります。

...あ、そうだ。
一つ言い忘れていたことがあります。
スピーカーは全帯域ぴったり4Ωとか、そんなことはありません。
いろんな周波数の音声信号によってぐにゃぐにゃと変化している中で、平均を取って4Ω、みたいな感じです。
これもD級アンプの特性変化に関わっています。
D級アンプに得意不得意が大きく現れるのはこのためです。
(もちろんQ1で書いた通り、専用アンプを使った場合はそのスピーカーに合わせたフィルタを搭載してたりするので、デジタルアンプでもアナログアンプでも音が変わりません。)

その場合や会場の特性によって使い分けが大切ですね。





...他にあったら追記します。